東京海上日動システムズ株式会社様

KSKと一緒に取り組んだアジャイルQA施策でアジャイル開発における品質向上とスピードアップの両立に成功

東京海上日動システムズ株式会社は東京海上グループのIT戦略を担うシステム会社として、東京海上火災、日動火災のシステムグループ会社3社が合併して2004年10月に発足しました。 東京海上グループ情報システムの企画・提案・設計・開発・保守・運用・システム活用支援を担っています。
今回は東京海上日動システムズ株式会社の櫻井様、綾部様にお話を伺いました。

部門概要と課題

東京海上日動システムズ櫻井氏
デジタルイノベーション本部 デジタルイノベーション開発部 課長 櫻井 麻美子氏

お客様向けのアプリやWebシステムを開発

 東京海上日動は「お客様に“あんしん”をお届けし、選ばれ、成長し続ける会社」を長期ビジョンとして掲げ、損害保険業を展開しています。一方で事故に遭わない、起こさないことがお客様の幸せにつながるのは間違いありません。そういったお客様の安心を支えることをDXの領域からアプローチしていくことも東京海上日動システムズ デジタルイノベーション開発部の役割の1つです。これまで当部では、健康をチェックするヘルスケアアプリや、ドライブレコーダーを通じた運転診断で注意喚起を促すアプリなど、お客様の幸せにつながるSoE(System of Engagement)に即したサービスの開発を行ってきました。

品質とスピードの両立に難しさを実感

 開発のスタイルはアジャイルとなります。4年前にデジタルイノベーション開発部が発足して以降、数十種類ものアプリやWebシステムを開発してきました。そのアジャイル開発の中で課題として感じていたことが、品質とスピードの両立です。品質を追及すればテストに要する時間が長くなり、スピードを優先すればテストで抜け漏れが発生するなど、品質とスピードの両立の難しさを実感していました。

品質とスピードの両立に難しさを実感

 開発のスタイルはアジャイルとなります。4年前にデジタルイノベーション開発部が発足して以降、数十種類ものアプリやWebシステムを開発してきました。そのアジャイル開発の中で課題として感じていたことが、品質とスピードの両立です。品質を追及すればテストに要する時間が長くなり、スピードを優先すればテストで抜け漏れが発生するなど、品質とスピードの両立の難しさを実感していました。

品質とスピードの両立に難しさを実感

 開発のスタイルはアジャイルとなります。4年前にデジタルイノベーション開発部が発足して以降、数十種類ものアプリやWebシステムを開発してきました。そのアジャイル開発の中で課題として感じていたことが、品質とスピードの両立です。品質を追及すればテストに要する時間が長くなり、スピードを優先すればテストで抜け漏れが発生するなど、品質とスピードの両立の難しさを実感していました。

 品質を担保しつつ、より短いサイクルでお客様にアプリやWebシステムを通じたサービスを届けるためにはどうすればいいか思案していたとき、ある書籍でアジャイルQA (quality assurance:品質保証) のノウハウを学びました。アジャイルQAとは、QA担当者という品質に特化した人材をチームに入れることで、QA担当者はスプリント中の品質向上をリードし、エンジニアは品質を意識しながらも開発に集中することで品質とスピ―ドの両方を担保できるというもの。今までは、エンジニアを中心としたチームでスクラムを組み、そのチームの中で開発を行いながらテストも計画・実施していたため、品質とスピードの両立を阻害していた可能性があります。品質に関する高い専門性を持ったQA担当者をスクラムチームに加えることで、品質とスピードを両立できるかもしれないと考え、まずは上長に相談することにしました

アジャイルQAの導入経緯

QAを通じてお互いが成長していく取り組み

 チャレンジングな取り組みは後押ししてくれる組織であるため上長の理解は得られましたが、問題はQAを担うベンダーの選定です。すぐに思い浮かんだのはKSKさんです。実機検証や機能検証といった品質保証の分野で高いノウハウを提供いただいており、当社にとって欠かせないパートナーです。当社のシステムに詳しく、幾多の難局をともに乗り越えた実績のあるKSKさんとトライしようと考えました。アジャイル開発の本質は改善していくことであると捉えていますから、ワンチームとして「共に成長する」ことに合意し、アジャイルQAへのチャレンジを決意しました。

アジャイルQAの概要図

アジャイルQAの取り組み

チームビルディングからスタート

 当部はスクラム開発にてワンチームで開発を進めていきますから、メンバー同士がフラットに意見を言い合える関係性を築き、心理的安全性を担保することが何よりも重要です。新たなメンバーとしてQA担当者が入る場合も同様で、まずはチームビルディングから行っていきました。その後のチームビルディングを終えたスプリント開発期間においても、スプリントプランニングや要件を整理するバックログリファイメントなど、KSKさんのQA担当者には開発メンバー同様、全てのスクラムイベントに参加していただきました。

POと開発メンバー双方の意図を組み込んだテストを提案できる

 開発と並行しながらPOや開発メンバーの想いを汲んだテストケースを作成し、テストを実施していかなければなりませんから、彼らとのコラボレーションフローは非常に重要でした。ソフトウェアの振る舞いを見ながら柔軟にテストの内容を作成・調整していく探索テストにおいても、開発メンバーとQA担当者の会話のなかで優先順位を決めて行うスタイルを確立していきました。これにより、QA担当者はPO(ビジネスドメイン知識)と開発メンバー(システム構成・設計)の双方の意図を組み込んだテストを提案できるところ、そして、要件と仕様に関する認識の相違をなくせるところが強みということを実感しました。

ワークショップを通じた品質に関する知識拡充

 KSKさんのQA担当者には品質特性を学ぶワークショップを開発者に対して実施いただきました。ひとつのチームだけでなく、さまざまなチームが集まる定例会の場でも開催していただいたため、主に若手が、品質に関する知識について体系的に理解することに繋がったのではないかと考えます。

ガイドラインは適宜アップデート

 QAのガイドライン策定に関しては、フォーマットを決めるところから始まり、レビューをしながら肉付けをしていきました。最初のプロジェクトでガイドラインの第一版を完成させ、後続のプロジェクトからそのガイドラインをベースに進めていくことにしました。また、QAの知見が蓄積されるごとに、ガイドラインも適宜アップデートを行っていきました。

アジャイルQAの効果

品質とスピードの両立に導いたアジャイルQA

 スプリント期間で品質をつくり込むことにより、Undone期間が短くなったことがスピードの効果として感じるところです。しかも、Undone期間中に検出した障害は想定より削減されています。つまり、品質も担保できていると考えています。

チームのメンバーもQAの重要性を理解

 スプリント1のとき、開発メンバーに対しQAについて聞くと、お互いのコラボレーションの仕方が確立していないこともあり、「何を実施していただけるのか分からない」という発言がありましたが、コラボレーションの仕方が共通認識化できたことにより、「QA担当者との仕事のやり方が見えた」に変わりました。最後の振り返りの場では「QA担当者がいたおかげで、これだけのスピード感で開発することができた」と大きな変化が見られました。我々としても、QAがどれだけ重要かあらためて認識しました。

東京海上日動システムズ綾部氏
デジタルイノベーション本部 デジタルイノベーション開発部 スペシャリスト(スクラムマスター) 綾部 翼氏

今後の展開とKSKへの期待

品質に対する知識の平準化・高度化を図っていきたい

 現在、当部では品質に関するノウハウなどを開発者に共有しながら、組織全体にQAの考え方を反映させる取り組みを推進しています。その中でKSKさんへの期待はスプリント期間中に確保すべき品質に対する考え方の定着です。ワンチームの一員としてスプリントを回していく中でこうした考え方をメンバー一人一人に腹落ちさせることで品質向上に寄与いただければと考えています。QA活動自体もより良い形に改善し続けたいと考えておりますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。


◆お客様プロフィール

東京海上日動システムズ株式会社

東京海上日動システムズ株式会社
本社: 〒206-8510 東京都多摩市鶴牧2-1-1 多摩東京海上日動ビル
設立: 1983年9月
資本金: 5,000万円(東京海上日動火災保険全額出資)
社員数: 1,559名(男性1,029名、女性530名/2023年4月1日現在)
事業内容: 東京海上日動火災保険、東京海上日動あんしん生命保険等、東京海上グループの情報システムの企画・提案・設計・開発・保守・運用
URL: https://www.tmn-systems.jp/

  • 取材日:2023年9月
  • 記載内容、数字等はすべて取材日時点のものです。
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